放課後、呼び出された旧校舎3階音楽室の前に立つ。 この教室は、新校舎が建てられてから使われなくなって人はほとんど来ない。 だから周りには誰もいないし廊下はしんと静かだった。 そんなところに一つの旋律が流れ出した。 ドビュッシー/アラベスク第1番 静かに、穏やかな旋律の中に奏者の心があった。 それは、誰かを想う心。 誰かに対する怒り、悲しみ、嬉しさ。 この音楽はつい昨日聞いた音と同じだった。 感情豊かな演奏者…。