________________________ 忘れた方が良い。 そう言った、運転席の男は、ミラー越しにちらりとむせび泣く彼女に目をやる。 そして、可哀想に。と首を振った。 自分の発した言葉が、 彼女をまた、降り出しに戻させてしまったことに、気づかずに。 車は走る。 ここから少し遠い、彼女の家まで。 雪の降る中で。 ただ、ひたすらに。