子供たちの元気な笑い声が、潮風に乗って私の耳元に届いた。


あぁそうか、もうそんな時期か…と。


今日は海水浴場の海開き。


海開きのイベント会場は波間に漂う私から、それ程離れた場所でもなかった。


私は岸壁からここまで泳いできただけ。


理由はとくにない。


強いて言うなら溶ける程に暑かったから。


マンションからコンビニまで徒歩15分。


その道のりの前辺が海。


透き通る青に誘われるまま飛び込んだと思う。


ほんとに…暑い。


とろけるくらいに暑い。





私は元水泳部。


背泳ぎが大好きな万年補欠部員。


大会はすべて予選落ち。


ただ、空を見ながら泳ぐのが好きだった…ただそれだけ。


だから、背泳ぎがいい。


青い空を白い雲が風に乗り、徐々に姿形をかえてゆく。


私もかわれるだろうか?


この夏中に…。




ゆっくり波を切り、砂浜を目指した。