「そしてあたしが持つのは、マッチ棒。
あたし、マッチ棒を使って火を点けるの、上手いのよ」
さりげなく自慢する桜ちゃん。
自慢することじゃないと思うけど…。
てか自慢してほしくないわ。
「誰かがここまで来たらね、その人を巻き込んで大爆発を起こして、殺すのよ」
「私だけじゃなくて、桜ちゃんも死ぬじゃないっ」
「別に良いのよ死んでも。
…だって、未練なんてないもの」
「瀬川は?好きなんじゃないの?」
「好きよ、好きだわ。
でも、なーくんはあたしを愛していない」
「え?」
「態度でわかるわ。
この傷のせいで付き合っているのもね。
あたしの我が儘なの、付き合っているのは」
「我が儘…?」
「この傷、下手したら傷害事件だわ。
警察に言わない代わりに、付き合えって、あたしが脅したの」
「…何があったの?」
「話してあげるわ。
冥途の土産ってことで」
桜ちゃんは話し始めた。
それは、
瀬川の笑顔が消えた、
きっかけの話だった。


