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「カナコさん!」

「カナコちゃん!先輩!」

「瀬川!稲村!」



和歌奈さん、宇佐美兄弟が、倉庫の外で叫ぶ。

和歌奈さんなんて、涙を浮かべている。

でも今は、再会を喜んでいる暇はない。



「…ッ瀬川様!?
どうされたんですの?」

「凄い熱なの!
和歌奈さん、病院行ける!?」

「ええ!
乗ってください!!」



宇佐美先輩が開けてくれた車の扉へ、滑りこむように入る。

和歌奈さんの家の車らしい車は、宇佐美家の車と同じぐらい広く、座席の上に瀬川を寝かせることが出来た。




「カナコさん!使ってください!!」

「ありがとう宇佐美くん!」



どこから持ってきたのか不明の氷嚢(ひょうのう)を、瀬川のおでこの上に乗せた。



「コレどこから?」

「鳳財閥の執事さんが、折り畳み式の氷嚢を持っていたから、借りたんだ」



折り畳み式の氷嚢?

聞いたことないけど、今は氷嚢に感謝かな。