「父親はカナコに関しては無関心なんですけど、大学の生徒さんやわたしには笑顔で話し過ぎるほど話すんです。
カナコは自分にも笑顔を向けられるように、頑張って勉強して。
…父親を笑わせることに、あの子は必死なんです

笑顔は誰かを救うことが出来るからって」




だからカナコさん、

瀬川様を笑わせるなどと言ったのですね?




笑顔は誰かを救うことが出来るからって。





「カナコがいないなら、しょうがないですわ。
さ、わたしも帰るとしますか」



佳奈美さんはさっさと帰ってしまった。




「瀬川様…」

「…鳳は僕と宮野のお父さんが同じだと思ったんですか」

「ええ思いますわ」

「……」




瀬川様は黙ってしまった。

その表情は、哀しそうに見えた。




『プルルルルー』

「あ、執事長からですわ。
…もしもし?和歌奈ですわ」

『和歌奈お嬢様ですか。
宮野叶子様の携帯電話を逆探知したところ、場所がわかりました。
その場所には、宇佐美財閥の方々もいるそうです。
今から車を学園へ向かわせますので、皆様でお乗りくださいませ』

「ありがとう、助かりましたわ」



あたしは通話を終え、

瀬川様達と一緒に、正門へ向かった。