「佐々木‼」


昇降口で靴を履きかえる佐々木を見つけて、思わずこえをかけた。


「ん?」


さっきのキスと宣言がウソみたいに、普通だ。


「一緒に帰ろうぜ。」
俺も靴を履き替える。


「どういう風の吹き回し?」
ん?
ちょっと顔が赤い…か?


俺は面白くなって言った。


「いや~?なんかガンガンきてくれるみたいだから、楽しみにしてようかと思って(笑)」


「あ…あれはっ‼」


ボン‼と効果音がつきそうな勢いで、佐々木が真っ赤になった。


くくっ。


「笑うなぁ~‼」
真っ赤になりながら、佐々木がポカポカ俺の背中を叩いてる。


今すぐどうこうって訳じゃないけど、なにも女は胡桃だけじゃないし。


「俺を惚れさせてくれるの、楽しみにしてるよ、楓ちゃん♥」
耳元で囁いてみれば。


口をパクパクさせて、かと思うとキッと俺を見て。


「ま…負けないんだからぁ~‼」


「俺も負けないし?」


「む…むかつく~‼」


「でも、そんな俺がいいんでしょ?可愛いねぇ~、楓ちゃん♥」


「うるさぁい‼この女ったらしがぁ‼」


「え~、俺一途だよ~?」


こんなワイワイ騒げるのもいいな。


ギャーギャー言い合いしている俺たちに、サァッと心地よい風が吹き抜けていった。



(蓮人side 終)