「お邪魔しました~。」
俺と智樹、翔と姫奈で桜本家を出た。


佐竹は、いじけた慎さんに捕まっていたので、ほったらかしてきた。


「いや~しかし、マジで慎さんの妹とは思わなかったな!!」
智樹がイテテ・・・と頬を押さえている。
胡桃にチューハイを飲ませた事がバレた智樹は、風花さんにパンチをくらったのだ。


女なら平手打ちが限界か?なんて考えは、あの人にはないわな……。」


なにせ鬼龍の総長フルボッコする人だし(笑)


「だから胡桃ちゃんは、俺らにも動じないワケだよな!!
だって、もっと気合い入ってんのが周りにウジャウジャいたわけだし(笑)
慎さんは、2人の気合い入ってるパーツが似て、胡桃ちゃんは、2人の可愛いパーツが似たんだな。ま、家族そろって美形だけどな!!」
智樹が納得したように言う。


「胡桃ちゃんは、自分が可愛いとは思ってないみたいだよ~。小さい時から男の子にからかわれるのはムカつかれてると思ってたし、女の子に呼び出されるのも、ブスのクセして生意気なんだよ!!って言われて信じてるみたいだし……。男の子は好きな子かまって、女の子はヤキモチやいてただけなのにね。胡桃ちゃんは、違うほうに火がついたみたいよ(笑)
まぁそのおかげで、未遂ですんだからいいけど……。」


姫奈が言う事はもっともだ。


胡桃じゃなかったら、たぶん犯られてた。
佐竹が言ってたセリフが思い出される。


『一生消えない傷をつけられる所だった……』


佐竹と慎さんに言われた事は図星だ。


下っ端もまとめられなくて、なにがトップだ。


「今回の事は、俺らも考えさせられたな……」
翔がポツリと呟く。
「姫奈がもしあんな事になったら、俺は相手も許せないけど、それ以上に自分も許せない……。」
絞りだすように言った。


「……俺、調子にのってたんだな……。胡桃に会って、あそこまでクソミソ言われて、やっと分かった……。結局は、俺の甘えなんだよな……。俺も、和馬さんみたいに変われるのかな……。
女を信じて、一生愛せるようになるのかな……。」
和馬さんの話を聞いて、胸がポッカリあいたみたいだ。


「うまくいくかは分かんねぇけど、変われるんじゃねぇ?
だって、あの風花さんの娘だぞ(笑)
俺らが間違ったら、フルボッコ出来そうじゃん(笑)」
智樹が笑ってる。


そうかもしれない……。
なんだか、胡桃が変えてくれそうな気がする。
初めて感じる、なんともいえない、くすぐったいようなこの気持ちを、ちょっと大事にしてみよう……と思った日だった。