「胡桃……!!」
声が聞こえた方を向くと、蓮人と由梨ちゃん、舞ちゃんがいた。


見られ……ちゃった……よね……。
女の子がケンカ強いとか、また怖がられちゃうよね……。


ギュッと目をつぶった時。


「胡桃ちゃん~、無事で良かったよ~!!」
由梨ちゃんが、ギュッと抱きついてきた。


「え……?」
びっくりして目をあけると。


「川島に聞いた時は半信半疑だったけど、胡桃、本当にケンカ強いんだな!!それともチャラ男先輩方が弱っちいのかな」
とニカニカ笑いながら、私の頭をポンポンと蓮人がたたいた。


「てめ、1年がふざけた事言ってんじゃねぇ……!!」
立ち上がったチャラ男先輩が言った時。


「は?ふざけてんのは、どっちだよ?大人数で囲んでる、そこのクソ女共と、5人がかりでやっちゃおうとしてた、テメェらだろうが!!」
今まで聞いた事ないような怒気を含んだ声と、見た事ない怖い顔で、チャラ男先輩の胸ぐらを掴んで身体を持ち上げている。

え……蓮人?


私がびっくりしていると。


「テメェら全員、胡桃にこんな事して、覚悟は出来てんだろうな?俺いま、最高イラついてるから、ちょっとストレス解消につきあってもらえませんかねぇ?」
ニヤリと不気味に蓮人が笑う。


「蓮人……?」
私が名前を呼ぶと。


「悪ぃな。俺も隠してた事あったんだよ……。だってさ、怖がられるだろ……?」

寂しそうに笑う蓮人。


「……!!」
蓮人も同じだったんだ……。
思わず私が涙ぐむと。


「テメェら、なにやってんだよ?」


ドアの方から、周囲を凍りつけるような低い声が聞こえてきた……。