「どういう事だよ……」
俺が言うと。
「胡桃って可愛いでしょ?それで、幼稚園の頃からモテモテだったのね。男の子には声かけられる事が多かったし、女の子からはイヤガラセされたりで……。負けず嫌いの胡桃が家族に相談したら、自分の身を守れるように、いろいろ教えてあげたの。元々センスがあったんだろうね、あぁみえて胡桃、めちゃくちゃケンカ強いの……。」


川島の話に、ついポカン……と口が開いてしまった。


「私、胡桃と一緒に遊んでる時に2人でナンパされて、無理矢理つれて行かれそうな時に、素手で倒しちゃったんだよ。それを見ると、みんな怖がっちゃうけど、胡桃はそれも含めて可愛い胡桃なの……。」
川島が、うつ向きながらそう言った。


なるほど、そういう事か……。
俺は納得すると、2人に言った。
「別に俺は、それで胡桃を嫌いになる事はない。でも心配なのも変わらないから、俺は今から胡桃の所に行くよ。上に行ったって事は、どうせ定番の屋上だろ?」
そう言って走り出そうとしたら。


「ま……待って!!私も行く!!」
橋田が大声で叫んだ。
「わ……私、ビックリしたけど、胡桃ちゃん好きだもん……!!私だって心配だもん!!」


「2人とも、ありがとう……」
泣きべそな川島を引っ張って、屋上に走り出した。
階段を昇りきってドアを開けると。
「みんな、やっちまうぞ!!」
とヤロー共が叫んで胡桃に近づいてく所だった。
「胡桃……!!」
俺が声を出した、その時。

わき腹を蹴られたらしい男が1人、横に吹っ飛んでいった。

「はっ?」
驚きの声をあげた男が、今度は膝を前から蹴られて崩れた所に膝蹴りをくらっている。

「ちょっ……!!」
と言った男は、背負い投げで投げつけられる。

残りの2人は、みぞおちに肘打ちをくらって、崩れ落ちた。


まさに一瞬の出来事……。
その場にいたクソ女共も、青ざめて立ちすくんでいた……。


(蓮人side 終)