「まぁ、俺らの勘違いかなぁ。」
のほほんと智樹が言う。


「私は胡桃ちゃん大好き~♪
みんなが遠慮して言えない事をズバッと言っちゃったり、全くウチらに対して、偏見もなければ媚びない所も好き~♥」

姫奈のお気に入りになっちまったようだ。


「ちょっと今までの子達とは、タイプが違うよね。
ニセ天然はいっぱいいるけど、あそこまで自分を分かってない無自覚天然ちゃんは始めてだよね。
楽しくなりそうだなぁ……。」
智樹がニヤニヤしながら言ってるのをサラッと無視して、俺は歩き出した。


すると。
「影山先輩……。」
と、いつもの告白パターン。
なんで女って、見た目だけで声かけてくんだ?
俺の噂だって、耳に入ってるだろうに。
あのクソチビも知ってたし。
付き合うなんて面倒くさい。
名前も聞かずに、ただヤって終わり。
それを望む女どももクソだ。
本当なにもかもが面倒くせぇ。
この女だって、もう俺に制服脱がされて、耳障りな声を出してやがる。
気持ちいいのなんか一瞬で。
その前にも後にも、虚しさしか感じない。
俺は果てると、名前も知らない女を置いて空き教室を出る。
ただ一言。
「もう話しかけんな。
そのツラ二度と見たくねぇ。」
自分でも最低だなって思うけど、女に夢も希望も持った事がねぇ。
自分の母親が、男作って出ていっちまったせいか……。
自分の父親が、今だに女にだらしなくて嫌気がさすせいか……。
その2人の血をついでる自分に嫌気がさすせいか……。
考えてもキリがねぇ。
むしゃくしゃするから、ケンカもする。
でも、なにもかもが、面倒くせぇし、虚しい……。


きっと俺は一生、こうやって生きてる気がする……。


(類side 終)