「だからって睨む事ないでしょ!!いくら胡桃の事が可愛いからって。このバカズマ!」
ママがパパのみぞおちをグーでパンチした。


「うっ」
パパがみぞおちを押さえてる。


「パパ大丈夫?もう心配しすぎだよ~。誰も私の事なんか相手にしないから。」
パパのお腹をさすりながら見上げると。


「胡桃~♥♥♥」
デレッと目尻を下げて、パパがギューっと抱っこしてきた。


「はぁ、とても鬼龍の総長だったとは思えないデレデレっぷり。」
ママがため息をついてる。


そうなの。
パパは、昔、鬼龍っていう暴走族の総長というやつだったらしい。


喧嘩すれば負け知らず、バイクの腕も一流、しかもイケメンてことで、それはそれは女の人達がほっとかなかったらしい。


来る物拒まず去るもの追わずの最低な女関係だった……とママが言ってた。


でも、そんなパパのハートを鷲づかみしたのが、私のママ、桜本 風花(旧姓 山本)だったらしい。