《キーンコーンカーンコーン》

チャイムが鳴り、放課後が始まった。

すると、みんな教室から出ていく中で、
その流れに逆らい、こちらへ向かってくる人がいた。
…昨日のライン相手だった。

「郁さん、やっほー♪」

「あ、あの、昨日は返信できなくてごめんなさい。悪気はなかったんです。その…」

「いいよ、それ以上言わないで。」

「あ、あ、あの、えっ、と…」

好也は郁のほっぺたを両手でおさえた。
郁は真っ赤に…となるのが普通だが、
青ざめてしまった。視界がクラクラした。

〝…きゃ!!〟

倒れそうになって、好也に支えられた。
だがそれが仇になり息があがってしまった。

「…はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」

「…だ、だ、大丈夫!?
本当にごめんね!!まさか、ほっぺたおさえただけでこうなっちゃうとおおおお思わなくてっ!!」

「…はぁ、はぁ、だ、大丈、夫だよ。…」

郁は力が入らず、呼吸を整えようと必死だったが、その時体重を好也に任せていたのは、
本当にこの人は大丈夫だと、感じたからだ。

しばらくして、呼吸が整うと、郁は自分が寝転んだ状態であることに気づいた。
そして大きめのブレザーがかけられている。
だが、持ち主は見当たらなかった。

すると、すぐに好也は戻ってきた。
…飲み物を何本か抱え持って。

「飲み物どれがいい?
どれでも好きなのを落ち着いたら飲みな!」

「…ありがとう。」