「おはよー。あ、今日はお二人でご登校?」

「有紀、変な言い方しないでよね。」


あらま、と言いながら口を押さえる有紀を制止し、私達は席についた。


「ってか聞いてよ有紀、ソータさぁ、未だに妖狐妖狐って騒ぐんだけど。」

「へぇー、ソータ、そんなに妖狐に会いたいの?」

「いや、会いたくはないけど。」


...何度も言うけど、なんなんだ...。


「妖狐なんて言って騒いでんの、今時私だけだけだよ?奏太。」

「まぁそうだけどー。」

「ソータはなんでそんなに妖狐が気になるのよ?」


ずっと気になっていたことを聞く。
なんでそんなに妖狐に興味を持っているのか。


「いや、ばあちゃんが言ってたんだよ。妖狐は寂しい生き物だって。」

「寂しい生き物?」

「うん。人間から恐れられて、随分と酷い仕打ちを受けたんだって。」

「酷い仕打ちってなんなのよ。」

「それがわかんねぇけどー。でもさ、もしいるんなら、存在否定しちゃ可哀想じゃん?」


ソータはそういうのに同情しやすい。
まぁ、妖狐を恐れてんのはアンタでしょって感じだけど。

でも、確かにもしいるんなら可哀想かもね。
こんな風に存在を否定しちゃ。