夢を見ていた。
都会の街中で、堂々と歩く、自分の姿。
お洒落な服を着て、友達とショッピングをする、ずっと憧れていた...。

ピピピピピッピピピピピッ...


「...ちゃ...ね...ねぇ...姉ちゃんっ!」

「うわぁっ!」


体に大きな衝撃と、痛み。
また、夢か...。


「もうっ!姉ちゃんさっさと目覚まし止めてよ、うるさい。」


弟の碧が冷ややかな目で見てくる。


「なんかずっとニヤけてたけど。」

「...何でもないわよ、それより出てってよね。」


碧は呆れたような目で床に倒れた私を見下ろした後、部屋を出ていった。

きっとあんな夢を見たのは、雑誌やテレビで散々都会の特集を見て、妄想をふくらましていたからだろう。


「美依ー、早く降りてきなさい!」

「今行くー。」


お母さんの声に、一つ欠伸をしながら、私は部屋を出た。