「てかさー、お前らほんと学習しねぇな?ゆずのバックに俺らがいるって分かったんなら、さっさと消えろよ。

それとも何?日本語理解出来ねぇの?」



「「……っ!!!!」」




拓斗くん……煽りまくってる…。
これじゃ、今にも暴力始まりそう……。





「てか、お前さ。何か言ったら?さっきから春川たちに任せてさ。それがズルい女って事何だよ。」





確かに私は、誰かがいないと何も出来ない弱虫だ。


確かに、誰かと一緒にいないとダメな女だ。


確かに…………私は、ズルい女だ。


だけど、誰にでも“ズルする心”はある。

私だけじゃない。他の人にもそういう心はある。




「はぁ~……もういっぺん言ってみ?
綺麗なハイキックおみまいしてやっから。」




相変わらず拓斗くんは煽ってて。


……私だって、もう子供じゃない。
高校生だ。一人でも出来る事がたっくさんある。



弱い私はやめようってパパとママを亡くしてそう誓った。

いつも、心に言い聞かせてた。



私を抱き締める綾斗くんの腕を私はそっと離した。


一歩、前に出る。



「……ゆずちゃん…?」