「じゃぁ、お昼ご飯作るから、ゆずちゃんも適当にどこか座ってね。」


「はーい。」



そっか、キッチンがあるからご飯作れるんだ。

この部屋凄いな…。


「ゆずちゃんはここね。」


綾斗くんに言われ、座らされたのは、なぜかお膝の上だった。


へ…?お膝…の上……??


そうしっかり認識した瞬間、私の頭は沸騰状態にあった。

やばい……こんなイケメンさんのお膝の上に……私乗ってる…!!


あぁ……鼻血でそ……。


そう思って、頭をふらふらさせてると、誰かが私の腕を引っ張った。


瞬間、包み込まれるような感覚がする。


な…なに……?
視界が真っ暗で……何も見えないんですけど。



「拓兄なにしてんのー?今は俺のもんだから抱き締めないでよ。ていうか、ゆずちゃんに触れないでー。」


「それはこっちのセリフだっつの。
お前、女にだけは本性見せねぇし、手がはやいから、ゆずをお前の傍に置いとくのは危険すぎんの。」



え……?
何か……いつもの拓斗くんじゃない…。

いつもは、私に酷いこと言って冷たくするのに…。




拓斗くんのそんな言葉が聞こえたかと思えば、私はなぜか拓斗くんのお膝の上に。


何か……違う…!!
拓斗くんが……!!拓斗くんが私をお膝の上に乗せてる…!!


逆に…違う意味で心臓持たないって
言うか…!!


「お前って、体ちっせぇーのな」


私の頭に拓斗くんの大きな手のひらが乗せられた。

今日の拓斗くんは……優しい…?

そう思ったら、少しだけ胸のなかで甘い音が響いた。



「拓兄酷いよ~……。ねぇ兄ちゃん!!
拓兄が……!!」


「はいはい。まぁ、拓斗の言ってることはあながち間違いではないねぇ。
今日は我慢しなさい。……て言うかいつも我慢しなさい。」


「え~…兄ちゃんまで…。でも良いもん。5限目からゆずちゃんは俺のだからっ♪」



綾斗くんがそんな独り言を呟いて、ソファに寝転がった。


優斗くんは、本当にお兄さんって感じがするな…。

いいな……私もお兄ちゃんが欲しかった…。