「ちょっとそこの高校生くん。」
「何ですか。」
タクシーの運転手が急に喋りかけてくる。
「さっきの会話嫌でも聞こえちゃうんだけどさ、“拐われた”って何があったの?」
「今、あんたに追いかけてもらってる黒い車。あん中に俺の友……大切な人が乗ってる。」
「拐われた、俺の大切な人がな。」と小さく言うと運転手が慌てた顔で言った。
だいたい想像できる。
「け、警察に連絡しないと…!!」
やっぱな。
普通はそう言う考え方をするんだろうけど、俺は事を大きくしたくなかった。
というよりも、警察がいれば名前の響きだけで誰だって焦るもんだ。
それはゆずを拐った奴等を焦らせる事になる。
…ただ煽るだけなんだよ。
警察がいるって事でゆずを人質にするかも知れねーってこと。
「おい、あんた。警察呼んだらただじゃおかねーぞ。」
「でもさっ…、」
「多分大丈夫だ。お願いだから俺らのやり方で救わせて欲しい。」
それを聞いて、運転手は口をつぐんだ。



