【完】狼様の最愛。









「アオイ!?」



「早く! もう日が暮れる!」





茜色だった空。



ふと走り際に視線を寄越せば、確かに夕日は沈み、山の向こうに消えかかっていた。





いつしか聞いた、お母さんの言葉を思い出す。





「村の夜はあっという間に来るのよ。」





この夕日が沈めば、辺りはもう真っ暗になるんだろうな。





真っ暗になれば夜



アオイは、何処へ向かってるの?





「最愛、気をつけろ。」





私に注意を払いながら、アオイは駆け足で山を登って行く。





いつも来ていた山。



慣れ親しんだはずの山だけど、周りが暗いせいか視界が安定しない。


それにいつもの広場もとっくに過ぎていて、いつもの道とは外れた険しい道を歩いてるから、ちょっと怖い。