あの時も、私はお母さんと二人で海に来ていて
私は今みたいに砂浜を駆け走っていた。
不思議なことに、記憶なんてもうないのに、それだけはなぜか鮮明に覚えている。
「私、海の青が好き。」
来たくても、来れなかった場所。
夏休みが終わる度、周りの子が楽しそうに話すその会話を、私は一歩離れて聞いていた。
なんで私は、みんなと違うのだろう。
何度も悩んで、何度も自己解決した。
“私は、普通じゃないから。”
そのうちその話題を、私は自然と避けるようになっていた。
だからこの言葉を口にしたのさえ、実に九年ぶりだったりする。

