腹が立つ。





儂には出来なかったことを成し遂げたくせに、こやつはそのようなことを、儂に言うのか。





「そんなもの、自分の目で確かめておけ。愚か者。」





勢いよく、男を背中から落としてやった。





「いでっ!」





情けない呻き。



本当に儂ら、動物とは違う。





「人は脆い。人の命は短い。」





だからこそ、“生きること”は大切なのじゃ。





死んでは、何も感じられぬ。



何も聞けぬ、何も見れぬ。





「御主は、亜希が生きている間にそれを聞くべきじゃったのじゃ。」





それは動物も人間も、何も違わないのだから。