side 山添最愛





「本当に、全てがバカバカしく思えたよ……。」





話す中本さんの目からは、涙が零れ落ちていた。





「結局僕は娘を殺しかけ、愛する人を殺したんだ。こんなの……人間のクズさ。」





思い残したことはない、とでも言うように中本さんは目を閉じる。





何だかその行動が、とてつもなくズルく見えて。





「……中本さんは、クズなんかじゃないです!」



「え……。」



「中本さんは、逃げてるだけじゃないですか!!」





思わず遠慮という言葉を無しに、そんなことを言ってしまった。





驚いた顔をする中本さん。





視界の端で、こっちに走って来てるアオイが映った。