――ドンッッ!!!!... 僕が轢いたのは、愛しき我が子の最愛。 僕が悲しませたのは、今でも一番に愛する亜希。 結局山を崩して別荘を建てる、なんてバカらしい工事は中止。 僕も数週間眠りについて。 起きたとき、目の前にいたのは亜希だった。 「亜希……!!」 この時、僕はまだ亜希が僕を好きでいてくれてると、勘違いしていた。 「哲郎さん。」 冷たく、そして悲しい声。 「最愛……記憶喪失になっちゃった……。」 自分の犯した、二度目の罪。 最愛の中から、僕……“中本哲郎”という存在が消えた。