村の村長と呼ばれる人に話をつけたが、思った通り簡単には承諾を貰えなかった。
いや、最後まで貰えなかった。
何日も何日も、村に通い続ける。
それに痺れを切らした美紀絵が、僕の知らないところで僕の部下に命令を出していたんだ。
「勝手に何をしてるんだ!! まだ承諾はもらってない!」
「ですが……奥様の命令で……。」
山を崩しにかかる部下を慌ててひき止めれば、面白いことに全員が“奥様”という言葉を使う。
部下に何とか山崩しを止めさせ、村長に頭を低くして謝り続け……。
次にすることは、美紀絵への抗議。
電話の出ない美紀絵に更に腹が立ち、僕は家に帰ろうと帰路を急いだ。

