「戻って来い、哲郎。」 父にそう言われたのは、最愛が一歳になって二ヶ月が経ったとき。 今まで僕を放任してたのは、まだ兄がいたから。 けれど兄は先日、事故に巻き込まれこの世を去ったと。 後継ぎがいなくなり企業が上手くいかず、父は僕を探し出した。 「戻って来て、宮根さんとこのお嬢さんと結婚しろ。」 バカバカしいと思った。 僕は既に結婚していて、大事な一人娘もいる。 誰が、そんな不利益しかないことをするかと思った。 「今戻れば、お前の家族は無事だぞ?」 父は、そんな僕を脅した。