side 中本哲郎
僕と亜希は、互いが二十歳の頃に過ちを犯した。
僕と亜希は恋人同士だったけれども、御曹司という立場の僕には婚約者もいた。
でもそれは親が勝手に決めつけただけであって。
僕はいつか亜希と結婚をするつもりだった。
…………なのに。
酔った勢いで起こしたその行為は、僕達の人生を狂わせる。
「子供が、できたの……。」
亜希にそう言われたとき、心臓が止まった気がした。
飛び上がりたいぐらいの嬉しさと、激しい焦燥感。
二つの気持ちが入り雑じり、僕を混乱させた。
亜希は僕の婚約者の存在を知っている。
子供が出来たと報告するのに、どれだけの勇気が必要だったことか。

