【完】狼様の最愛。









「きっ、きゃぁああっ!!」





「最愛っ!!」





落ちていく私に、慌ててアオイが手を伸ばすけどギリギリで届かない。





涙が滲んだ。



床が抜けただけなのに、死ぬかも、なんてことも考えた。





よっぽどのことがない限り、下の階に打ち付けられるだけじゃ人は死なないのに。



本当にこの時私は涙が出て、死の恐怖を感じた。





「……ごめん。」





言葉と同時に、突然ふと感じた体の温もり。



アオイとはまた違う、心が自然と休まるような懐かしい香り。





「おとう、さん……?」




口をついて、出た言葉。



私の“下”では、中本さんが微笑んでいた。





ドンッ!!...と、身体中に痛みが走る。



でも自分が想像していたよりずっと、その痛みは鈍いものだった。





「最愛っ!! 人間!」





中本さんが、私を庇ってくれたから。