直ぐ隣には、私がさっきまで歩いていた一本道がある。
森の中ではあるけど、道は外れてないようで一安心。
「赤坂村だろ?」
「うん。」
「連れてってやる。」
「……ありがとう。」
真っ白な毛並みに頬を寄せれば、人間の胸に耳を当てたときのような鼓動が聞こえた。
それは規則的ながらも、走っているからか少し早いテンポ。
少し悪いな、と考えて
同時に何故、この狼は私を助けてくれるんだろうと疑問に感じた。
「ねぇ。」
「何だ。」
ふと、眼を閉じる。
記憶の奥底。
蓋をされてしまった、私の記憶が詰まる壷。
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