「……最愛が俺達を忘れてないのならば、きっと来る。」



「だけど最愛は……、私のことを覚えていませんでした……。」





その瞬間、胸の内のどこかで、パリンと音がした。





「……最愛はきっと、後遺症を持ったのです。私達を守ったときの、後遺症を……。」





言葉が出なかった。



何を言えばいいのか、わからなかった。








八年前のことを、思い出す。





最愛は、事故に遭った。



俺達を守ったが故に。





死んでもおかしくない事故だった。





最愛の匂いを感じたとき、生きてると知って、とてもホッとした。