ヒルナもまた、俺達、山の動物と同じ、最愛を慕うもの。





最愛に救われ、最愛を好む。



俺達にとって最愛は、命同様。





最愛が命をかけて、俺達を守ったように、山の動物達も、命をかけて最愛を守る。





それがこの山の、たった一つの規則。



山の動物全員から、暗黙の了解を得ていた。





「……アオイ様。」



まだ隣にいたヒルナが、小さな声で鳴いた。





「なんだ。」



「明日……最愛は、山に来てくれるでしょうか。」





それはとても、小さな鳴き声。



今にも、消えてしまいそうな声だった。