それから数日、


バイト終わりに外に出て。


まず確認する、木嶋さんの姿。


そしていなくて、肩を落として。


何落としてんだって、


自分に突っ込んで。





「もう店長、上がっていい?」





「は、お前、何もやってねーだろ」





帰る前の掃除をやらずに、


休憩室に帰る。


すると、今まで接客していた


店長も中に入って来た。





「俺は休憩だからな」





「ただのサボりでしょ」





「お前に言われたくねーから」





更衣室で着替えながら、


くだくだ話す。


あー、お腹空いた。






「じゃ、お疲れ様です」





「あー、妃名」






休憩室を出るあたしを


呼び止めて。


何かと思えば、


ゴミを出して帰れとか。







「自分でやってよー、もう」





「店の外に置くだけだろうが」





ぶつぶつと文句だけ残し、


ゴミ袋を持って、外に向かった。


お疲れ様でした、と言い残し、


ドアを開けた。


ご飯何かな、って。


そんなことばっかり考えていた。


だけど。






「お疲れ」





「嘘…」





この人の顔を見て、


そんな考え一瞬で吹き飛んだ。


疲れも吹き飛んだ気がした。






「ごめん。また現れて」





「木嶋さん…」





また会えたらって。


ずっとそんなことを考えていた。


どんな人かも、


何をしている人かも分からない。


この人のことは、


木嶋悠太郎という名前しか


知らない。


なのに、あの日からずっと、


この人のことばかりで。





「やっと会えた」






あたしを見つめる


彼の目が、やけに愛しそうで。






「この先に車あるんだけど」






木嶋さんは、


この先の道を指さし、


もう片方の手をあたしに


差し出した。