中に入ると、


その人は奥に入っていく。


お店の人とも知り合いなのか、


軽く挨拶をしている。


少し、ホッとした。


入ったお店がカフェで。






「何か頼む?」





「あ、いえ。大丈夫です…」





「お腹空いてんでしょ。さっきパン食べようとしてたし」





うっわ、見られてた。


恥ずかしくて、顔を上げられない。


目の前にメニューを出され、


唾があふれ出る。


どうしよう、お腹空いた。






「遠慮しないでいいから」





「じゃ…パフェ、で」






決まりね、と。


そう言うと店員さんを呼び、


あたしが頼んだパフェと、


自分用のブラックコーヒーを


頼んだ。


心なしか笑っている。





「ごめんごめん」





じっと見つめるあたしに気が付いて、


小さく頭を下げた。






「何が、面白いんですか?」






興味半分でそう尋ねると。






「可愛いからつい、ね」





反則だった。


何に心を掴まれたのか、


よく分かんない。


だけど、それでも何か。


きゅんってしたの。






「あ、まだだったね。俺の名前」





彼はそう言って、


運ばれてきたコーヒーを


一口飲むと。






「木嶋 悠太郎です。これ名刺」





鞄から名刺を取り出して、


あたしに渡してくれる。


名刺ってだけで、


大人って感じがして。






「あ、あたしは…」






自分の自己紹介をしようとすると、


タイミング悪くパフェが


運ばれてきて。