「気持ちよかったぁ」





新しい下着を付け、


蓮哉の半そで半ズボンを着、


ベッドに寝転がるあたし。





「じゃ入って来るから」





蓮哉はそう言って、


あたしと入れ違いに脱衣所へ。


その間暇だったあたしは、


部屋を物色することに。






「うわー、すごい」





部屋の一角にある本棚には、


建築の心得の本や、設計のための


分厚い本がぎっしり置いてあった。


蓮哉の仕事の一部になってるのかな。


なんて思ったら、


蓮哉ってすごいんだなって


思い始めて。


あたしもこんなすごいこと、


出来るのかなって。


そんなことを考えた。





「何してんだ、妃名」





「蓮哉ってすごいね」





無性に褒めたくなって、


そう言うと。


案外あっさりしてるのかなって


思ったら。






「うん…、て、は?何言ってんの、お前」





って、すごく動揺してた。


なんだ、可愛い所あんじゃん。






「ほら、寝るぞ」





「うん」





そう言ってベッドに向かうと。





「じゃあな」





蓮哉は枕を1つ持って、


寝室を出て行った。


ぽつん、と1人取り残されたあたしは。


ぐるぐる考えて。






「ちょっと蓮哉!」





寝室のドアを開けた。





「何してんの?」




「見たら分かんだろ」





リビングのソファに枕を起き、


体を丸めて横になっている。






「何で蓮哉がこっちなの」





「いいんだよ、別に」





初めて家に来て。


あたしにベッドを譲ってくれるのは、


すごく嬉しいんだけど。






「あたしがこっちで寝るよ」





「いいから向こう行けよ」





あたしに背中を向けながら、


淡々と言う蓮哉。


何その態度。


なぜかあたしは腹が立って。





「ばか」





蓮哉の手を引っ張り、


寝室に向かった。


急に引っ張られた蓮哉は、


本当に引きずられるような形で


寝室に入ったけれど。






「…何すんだよ」





「一緒に寝るの」





分かんないよ。


あたしにも分かんない。






「は、何考えて…」





「いいから。一緒にいてよ」





一緒に寝るなんて、


蓮哉からしたら酷かもしれない。


1人で寝るシングルベッドに、


2人で寝ようって言うんだから、


そりゃ嫌に決まってる。


だけど今は。





「一緒にいたいの」





蓮哉と一緒にいたい。


本当の気持ちだった。