それぞれの携帯に、


それぞれの番号が入ると。


そろそろ出るか、と


4人は席を立った。


お会計では、


結構な額を男性たちが


払ってくれた。


あたしたちも払うと


財布を出したのに、


引っ込めろと強制され、


渋々お礼を言いつつ財布をしまった。





「鳴海ちゃん、家どこら?」




「ここから歩いて30分くらいです」





「なら、千秋、お前送ってやれよ」





そう言って蓮哉は鳴海の肩を、


ポンと叩いた。





「うん、ちょっと待ってて」





千秋さんは携帯を手にし、


どこかへ電話をしている。


話し声を聞く感じ、


タクシーを呼んでいるようで。







「でも悪いです」





「千秋じゃ不満?」





「いや、そういうわけじゃ…」





そう言うと、蓮哉は


あたしに近付いて。






「俺、こいつの面倒見ないといけねーから」





ポンポンと、


頭を撫でるように触れた。


あたしはそれだけなのに、


勝手に胸が高鳴った。






「妃名子、また明日ね!」





「うん、またね!」





タクシーに乗せられて去って行く


2人を見つめる。


鳴海、嬉しそうだったな。






「行くぞ」





「あ、うん」





スタスタ歩く蓮哉の後を、


のそのそと着いて行く。


蓮哉は暑いと言いながら、


スーツを着崩した。






「お前今度は制服着替えて来いよ」




「何で?」




「俺、犯罪者に見られるから」





わはは、と笑う蓮哉は、


やっぱり酔っぱらってて。






「分かった。そうする」





なんて答えながら、


また次があるんだって。


それが頭から離れない。


楽しい。


この時間が。


そんな気持ちに浸っている時。


あたしの携帯が、震えた。


ちょっと、ごめんね。


そんな断りを入れて電話に出る。






「もしもし?」





『妃名子』





電話の相手は悠太郎で。


何だか少し、悲しそうな声色。





「どうしたの?」





『今から来れる?』