「わっ」




「妃名子」





悠太郎はまだ完全に拭けてない


あたしを、後ろから抱きしめた。





「待って…ゆう、たろう…っ」





「ごめん、待てない」





悠太郎はそう言うと、


あたしを見つめて。





「キス、したい」





そう言った。





「…いいよ、して?」





悠太郎はゆっくり近付いて来て、


静かに唇を重ねる。





「ふっ…ん、」





少し息が荒くなり、


声が漏れる。


立ったままキスをする時は、


いつもその場で腰が砕かれる。


そしてそのままベッドに


連れて行かれ、


一気に暗闇に引き込まれる。






「妃名子」






悠太郎は愛しそうに名を呼び。


狂ったようにあたしを求める。


優しい手であたしに触れ、


包むように抱きしめ。






「愛してる」





そう囁く。


それを聞く度に、


あたしの涙腺が壊れる。





「あたし…も…」





悠太郎とこうしていられる時間は、


いつまで続くのか分からない。


この人は、あたしのものではない。


悠太郎があたしを必要としてくれるなら。


毎日そう思ってはここに来て、


嬉しくて悲しくて涙を流す。






「っ…や…っ、悠太郎、」






体が反応する度、


少しずつ胸が痛んでいく。


ね、悠太郎?


あたしがどれくらい、


あなたを必要としてるか


知ってる?


あなたはあたしを、


どれくらい必要としてる?