「はい、出来た」





「じゃあご飯入れるね」





一緒に作った生姜焼きと、


お味噌汁とサラダと白米。


健康的で美味しそうな


メニューの出来上がり。






「いっただきます」





2人で手を合わせ、


目の前のご飯の頬張りつく。


さっき入れ過ぎだと、


言い合った生姜焼きは。






「あ、美味しい」





「ほら。だから大丈夫だって言っただろ?」





負けた。


生姜の入れる量も。


この笑顔にも。






「俺洗うよ」






食器を運ぶと、


悠太郎は率先して台所に立つ。


だけどあたしはそれを断固阻止。





「今日くらい俺が…」





「いいの。あたしがしたい」





悠太郎と一緒にいるこの時間くらいは。


この数時間だけは、あたしが


悠太郎の隣の女性になりたいから。


奥さんがしているようなこと、


結婚したらするようなこと。


全部あたしがしたいの。






「じゃあ、俺お風呂沸かしてくる」





「あ、ありがと」






悠太郎の家は、


どれもが広い。


お風呂のバスも何人分?


ってくらい、広いし、


リビングの向こう側には、


ガーデニングが出来そうなくらい


広いテラスがある。


それにリビングですら、


何人が住めるのってくらいの広さ。


こんな所に1人で住んでて、


悠太郎寂しくないのかな。






「妃名子、お風呂溜まったよ」





「お皿洗い終わったよ」





エプロンを外すと、


すかさず悠太郎がやってきて。






「一緒に入ろ、お風呂」





そう言って、シャツのボタンに


手をかけてくる。






「もう、ちょっと急がないでよっ…」





「お風呂冷めるから」





「先に1人で…」





「いいから」





有無を言わさないこの男。


それに黙って従ってしまう、


このあたし。