それは、リリーの声だった。



「リリー」

「あら魔王さま。覚えていてくれたんだ」

「当然だ」

「そ。契約の遂行を知らせるお告げが来たから気になってきてみたら・・・驚いたわよ」





リリーは相変わらず表情が見えない深いフードをかぶっている。




「しかし、なぜ」

「最初に使ったあのカプセル。本当は、飲み込むべきものなの」

「ああ」

「でも、ルイさまはもう命は尽きていたし。飲み込めず口の中でそのカプセルは溶けた。それが体内に流れ込んで、なんとか命は戻ったわけ」

「だが、それがなぜ芽衣子の事と・・・」

「最後まで聞きな。解けたカプセルは、ルイさまの口の中にかすかに残っていたわけ。だから、さっきのキスでそれが芽衣子の中に入ったってわけ」




急かすルイをたしなめながら最後まで説明を続けるリリー。
芽衣子はルイに抱かれた腕の中でその説明をうつらううら聞いた。