好きな人はニセ彼女。



………知ってる。

恋なんてしなくてもいいことなんて。



でも何だか羨ましいんだよ……。



「………まさか、自分にくるとは思わなかったな」



軽い気持ちで言った「好きな人いる?」って言葉が

私に返ってくるなんて。




…………空はもう、オレンジ色ではなくて

私が帰る頃にはきっと

真っ暗になってるんだろうな。




人の少なくなった電車の中で、

私はイヤフォンをして

全ての音を聞こえないようにした。