*** 「瀬戸ー、宿題なんだっけ?」 『自分で思い出せよ』 「え………」 出席番号順で、後ろの席だった瀬戸に話しかけることはよくあった。 それと同じくらい、瀬戸も私のことを呼んだ。 『……………数学、ワークP45』 「先教えてよー」 『覚えてろよ、まず』 『はぁ…』と小さく溜め息をついた瀬戸は、また視線をノートに戻す。 私はじっと、そのノートを見た。