「……っうぅ……」


スーッと頬に伝う涙。


唇を噛みしめて必死で抑えようとしても口の端から嗚咽が漏れる。


「杏ちゃん、痛い?もうすぐ学校に着くから頑張って」


「……はい」


さっきケガをした部分は確かに痛いけれど、それ以上に胸が痛い。


張り裂けてしまいそうなほどの胸の痛みに涙が止まらない。



遥斗のことが頭から離れない。


遥斗のことしか考えられない。


学校に着いてからもしばらくの間涙は止まらずに、あたしは先輩を困らせてしまった。