「これも、きっと何かの縁だよね?杏ちゃん、これからよろしく」 「はい」 放心状態のまま頷いて、先輩の首の後ろに頬をくっつける。 甘酸っぱい香水の匂い。 遥斗の香水の匂いとは違う。 遥斗の香水はもっと柔らかくてとろけそうなほど甘い。 声だって、先輩よりももっと低い。 あたしの名前を呼ぶときは、年下のくせに『杏』って呼びつけにする。