「へぇ。杏ちゃんか。可愛い名前だね」 「そうですか?お母さんがあんずが大好きっていうだけでつけた名前ですよ?」 「ははっ。そうなんだ?」 先輩におんぶされながらたわいのない言葉を交わす。 あんなに遠かった及川先輩との距離がぐんっと縮まった気がするのに、気が重たい。 遥斗はどうしてあたしのことを無視したんだろう。 そのことが気がかりで、先輩との会話にも集中できない。