ヤバい。この人、本気だ。


呆然とするあたしの顔を背の高い彼は覗き込むように腰をかがめる。


首をわずかに傾けて彼は口の端を持ち上げて意地悪な笑みを浮かべた。


「……――バーカ。逃がさねぇよ」


心臓を鷲掴みにされたような圧迫感。


下半身がキューンっとうずくような違和感。


胸が張り裂けそうなくらい熱くなって、顔が火照る。


な、なに!?このシチュエーション。


こんなのって、マンガとか小説とかでしか見たことがない。


まさかそれが現実になるなんて!!