その時、ふとベンチの目の前を幼い女の子が通り過ぎた。
目に涙を浮かべ、辺りをキョロキョロと見回しながら不安そうな表情を浮かべる3歳くらいの子。
「……――どうしたの?」
思わず立ち上がり女の子の前に歩み寄り腰をかがめて同じ視線になる。
「ママとパパは?」
「いないの……」
「いない?迷子になっちゃったのかな?」
「分かんない……。いないの……パパとママがいないのぉぉ……」
本当はひどく不安だったのに、必死に我慢して両親を探していたんだろう。
辺りはもう暗いし、一人で迷子になり怖かったに違いない。
あたしが声をかけてその緊張の糸が切れたのか、女の子がボロボロと涙を流した。



