新選組に入隊して、1番初めに与えられた任務は、京の地理を覚えることだった。
「えっと……ここが……ここで……」
私は一生懸命に今いる場所と、山崎さんから貰った地図を照らし合わせる。
『監察の仕事をしてもらうにしろ何にしろ、京の街を覚えてもらわなきゃ、話にならないからなあ』
ハハハっと笑いながら、彼は言っていた。
ということは、これを覚えなきゃ何もできないということだ。
とにかく、一刻も早く京の地理を……
「おい、何をしている」
「え?」
地図とにらめっこをしていると、斎藤さんに肩を叩かれた。
「熱心なのは良いが、あまり立ち止まっていると置いていくぞ」
「あっ!すみません!」
そうだ、今は三番組の巡察に連れて行ってもらってる最中だった。
仕事上、あまり屯所にいられない山崎さんの代わりに、私は慣れるまでの間、三番組の皆さんと行動することになった。
懐に地図を仕舞い、あわてて彼の背中を追う。
浅葱色の羽織を纏った大きな背中。
この空と同じ、鮮やかな青色だなあ……
ボーっとその背中を見ていると、急に斎藤さんが立ち止まった。
「わっぷ!」
私は勢い余って彼の背中にぶつかってしまった。