天狗娘は幕末剣士

「今夜の君の仕事は、芹沢さん達が寝静まったことを土方さん達に伝達することだ。
 
 頼んだぞ」




「はい……」




どうしてだろう。




これから人を殺めるっていうのに、不思議と落ち着いていた。




冷静に、淡々と自分の仕事を確認している。




嫌だな、こんな自分……




「あの、山崎さんの今夜の仕事は?」




「俺も君と同様、伝達が仕事だ。

 その後は、見張りの原田さん達と合流する」




「分かりました」




それから、私は山崎さんと共に八木邸へ向かった。




土砂降りの雨の中、私達は庭の木の影に身を潜めた。




大粒の雨が体に打ち付けられ、着物を重くする。




芹沢さんの部屋からは、お梅さんと芹沢さんの話し声が聞こえる。




何を話しているか分からなかったけど、彼らの声を聞いていると切なくなった。




私達は、じっと2人が眠るのを待った。