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もうすぐお昼だ……。


あと少し……。




「菜美っ!ご飯食べ行こっ!」


「うんっ、行こ!」



廊下をパタパタと通り過ぎると、


……大狼君ファンクラブの女の子がずらり。


なんか、前よりも視線が気になる……。


だめだ、


気にしない、気にしな……



「おい、篠崎菜美!」



「ひぃっ?!」



驚きのあまり、変な声が出てしまった…。


うわ、こっちみてニヤニヤしてる。


「今日の放課後!体育倉庫に来い!」


その言葉を残して走っていった。


……捨てゼリフ…。


目の前で言われたら行くしかないよね…。


あぁ、最悪…。


「ねぇ、どうすんの?!」


「さすがに……逃げれない気がする……。」


「じゃあ……行くってこと?!」


「それしか……無いかなって……。」



何されるかなんてわからない。


ケンカでもするの?


暴力?言い争う?


そんな事したところで、何が変わるわけでもないけど……。


話して解決するんだったら、さっさと終わらせておきたいし……。



「でもっ、心配だよ!」


「大丈夫だって!なんとかするって!」


「そっか……分かった……。」



なんだか実梨はしょんぼりしてる。

全然元気が無くて……。





勢いで屋上のベンチに座る。


「もう実梨っ!元気出して!食べよ?」


「……でもやっぱり心配だよ…」


小さなお弁当箱を手に小声で呟く。


「だから大丈夫だって……」




「もう!大狼君のファンクラブはねっ、会長が、男なの!」



いきなり私の言葉を遮って、私の肩を揺さぶって話し始める。


「お……男……?」



「で、ソイツは女子なんかよりも何倍も権力が強いんだからね!」



「権力……?」



「だから、目つけられたら、菜美……もう終わりだよ?!」


終わり………。


男って事は……暴力……。


「……って事だから…行ってほしくないの…」


涙ぐみながら卵焼きを口に運んでいる実梨。


「そういうことね……心配してくれてありがと…。」


「……じゃあ…っ」


「でも、行くよ……」


行きたくはないけど、行くしかない。


「殴られたりしたら……っ」


「ちゃんと秘策があるから!」


「秘策……?」


「うん!だから大丈夫だよ!」


何も考えずに行く訳じゃない。

少しは作戦ぐらい立てておかないと……。


「よかった……」


そう言って笑顔を見せた後、実梨は卵焼きを口にして美味しそうにしていた。


心配させちゃ、ダメだ…。