そう、ルビーは口を尖らせた。
あのとき、いやにきっぱりとブランコ乗りが言ったから、ルビーは気圧されてしまい、反論できなかったのだ。
「あたし、奥さまがあたしに対して支払われた金額が、どういったものなのかよくわからないんです。仮にそれを借金と考えたら、どれだけ働けばお返しできますか?」
貴婦人はルビーに貨幣の単位と大体の基準を教えてくれた。
貴婦人が見世物小屋に出したルビーの買い取り金額は1万4000エキュー。
奴隷市場で売り買いされる普通の労働者としての成人男性が相場では200エキューぐらいだから、ルビー一人の値段で平均的な成人男性が70人買えてしまうという恐ろしい値段だった。
市場の人買いから見世物小屋がルビーを買ったときの値段は1万5000エキューだったことも教えてもらった。人魚という生き物の希少価値と、他に競り落とそうとするものがいたせいで、そのときの値はどんどんつり上がっていったらしい。
自由を労働で買い取る場合、どれだけかかるかについても貴婦人は計算してくれた。
たとえば見世物小屋の下働きや、野良仕事などの日雇いの仕事で雇用主が労働者に支払わなければいけない最低賃金というのがこの国では定められていて、それは一日まるまる働いた分で2エキューからとされている。これは1日2食、朝食と夕食を、飢えることなく食べられる値段から計算されているらしい。
もちろんこれは最低賃金だから、もっともらっている人もたくさんいるということだったが、最低賃金の10分の1が義務として奴隷に支払われる金額で、0・2エキューということになる。
もしもルビーがこの最低賃金で一年中一日も休まず働きつづけたとして、それをすべて借金返済に充てるとして、利子について考えないで計算しても、完済までに200年近くかかってしまう計算になるということだった。
聞いて驚くルビーに貴婦人は微笑んで言った。
「さすがに1日0・2エキューしか出せないということはないの。ここではきちんと働く使用人には1日10エキューは出しています」
貴婦人はここで言葉を切って、「1日10エキュー毎日稼いで、それを全部使って1万4000エキューを返済するとしたら何年かかるかを計算してみて」と言った。
あのとき、いやにきっぱりとブランコ乗りが言ったから、ルビーは気圧されてしまい、反論できなかったのだ。
「あたし、奥さまがあたしに対して支払われた金額が、どういったものなのかよくわからないんです。仮にそれを借金と考えたら、どれだけ働けばお返しできますか?」
貴婦人はルビーに貨幣の単位と大体の基準を教えてくれた。
貴婦人が見世物小屋に出したルビーの買い取り金額は1万4000エキュー。
奴隷市場で売り買いされる普通の労働者としての成人男性が相場では200エキューぐらいだから、ルビー一人の値段で平均的な成人男性が70人買えてしまうという恐ろしい値段だった。
市場の人買いから見世物小屋がルビーを買ったときの値段は1万5000エキューだったことも教えてもらった。人魚という生き物の希少価値と、他に競り落とそうとするものがいたせいで、そのときの値はどんどんつり上がっていったらしい。
自由を労働で買い取る場合、どれだけかかるかについても貴婦人は計算してくれた。
たとえば見世物小屋の下働きや、野良仕事などの日雇いの仕事で雇用主が労働者に支払わなければいけない最低賃金というのがこの国では定められていて、それは一日まるまる働いた分で2エキューからとされている。これは1日2食、朝食と夕食を、飢えることなく食べられる値段から計算されているらしい。
もちろんこれは最低賃金だから、もっともらっている人もたくさんいるということだったが、最低賃金の10分の1が義務として奴隷に支払われる金額で、0・2エキューということになる。
もしもルビーがこの最低賃金で一年中一日も休まず働きつづけたとして、それをすべて借金返済に充てるとして、利子について考えないで計算しても、完済までに200年近くかかってしまう計算になるということだった。
聞いて驚くルビーに貴婦人は微笑んで言った。
「さすがに1日0・2エキューしか出せないということはないの。ここではきちんと働く使用人には1日10エキューは出しています」
貴婦人はここで言葉を切って、「1日10エキュー毎日稼いで、それを全部使って1万4000エキューを返済するとしたら何年かかるかを計算してみて」と言った。

