「このように彼の自由を擁護する発言をしますと、警察の皆さんを混乱させてしまうかもしれませんね。その点につきましては浅慮でありましたこと、お詫び申し上げます。ですが、少し考えていただければご理解いただけるのではないかと思うのですが、もしもわたくしが積極的にハロルドを自由にしたいなら、盗み出すなどという面倒で手間のかかることはいたしません。堂々と買い取りますわ。夫が残してくれた遺産が、余るほどにあるのですもの。見世物小屋の座長さんにもそうお伝えくださいな」

 髭男は今度は、貴婦人を嫌そうに見た。