「っ!」

玉藻兄さんの口から痛みに耐えるような息が漏れた。

「玉藻兄さん!」

「璃桜に手を出すな!下等妖怪風情が!」

玉藻兄さんは手に宿した炎で背中に噛みついていたナニかを燃やし尽くした。

「君は一体……」

お兄ちゃんの小さな呟きが微かに響いた。

「っ!すまない……」

玉藻兄さんは近くにお兄ちゃんが居たことに気づき少し動揺しているようだった。

「お兄ちゃん……」

「……説明してもらえないか?」

お兄ちゃんの目には動揺と混乱、それと少しの怒りが見えた。

「ここでは、妖魔がいるから森に行こう」